老僧の墓穴

 人里離れた山奥に小さな寺があった。お堂はよく手入れされていたが、訪れる人がいないせいか、寂しげに佇んでいた。春を迎えた山はあちこちから生命の息吹が感じ取れた。暖かな日差しや緑に輝く草葉、木々を揺らす小さな生き物たちの営み。  お堂の裏で穴を掘る老僧は、その一つひとつを愛おしく思っていた。しかし、生命に対する愛情もまた、悟りを妨げ…
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