復讐のカルマ

 時刻は夜八時。住宅街の十字路で、俺は息を潜めていた。辺りは静かで通りかかる人はいない。奴の行動パターンは把握している。奴は毎日、家に帰るため、この十字路を横切る。来た。奴はスマホをいじりながら歩いている。  俺はポケットからナイフを取り出し、奴に駆け寄った。そして、握り手に渾身の力を込め、胸元を刺した。舞う鮮血が街灯に照らされて…
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老僧の墓穴

 人里離れた山奥に小さな寺があった。お堂はよく手入れされていたが、訪れる人がいないせいか、寂しげに佇んでいた。春を迎えた山はあちこちから生命の息吹が感じ取れた。暖かな日差しや緑に輝く草葉、木々を揺らす小さな生き物たちの営み。  お堂の裏で穴を掘る老僧は、その一つひとつを愛おしく思っていた。しかし、生命に対する愛情もまた、悟りを妨げ…
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糸人間の使命

 朝起きると、布団の脇に足が転がっているのに気づいた。右足と左足がセットである。見た目は非常に精巧で本物の足と見分けがつかないくらいだ。しかし、足首の断面から覗くと中が空洞でスカスカだった。  次の朝は足首から膝上まで、次の朝は太ももまで足が伸びていた。気味悪さを感じなかったわけではないが、友達のいない俺は誰に相談することもできな…
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ピアスホールの白い糸

「あの~、ピアスを開けた穴から白い糸が出て、それを抜くと失明するって聞いたんですけど、本当なんですか?」  白い壁にところどころくすみが目立つ診察室で、私は耳鼻科の先生に恐る恐る尋ねた。 「ああ。小林さん、その話、誰に聞いたんね?」 「えっと、お母さんにピアスの穴を開けたいって言った時に聞きました。」 答えを聞くと、…
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